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ふうの翻訳劇場

~ 芝居好きの駆け出し翻訳家ふうの日記 ~

アドルフに告ぐ その三

昨日の続きです。

と、その前に…。新米ライファーさんからのコメントにもありましたように、そうなのですヨ、この作品、どのキャラクターをとっても、それぞれに人生観や歴史があり、とても緻密に描かれていて、誰もが主役になれそう。今回は二人のアドルフがメインになっているけど、もちろん峠草平や由季江にもそれぞれの生き方があるし、石飛さん演じる本多大佐や、仲原ちゅうくん演じる息子の芳男(父が息子を銃殺するシーン、鳥肌が立った)、小城先生…とほかにもいっぱい興味深い人物が盛りだくさん。きっと、これも手塚先生の手腕なのでしょうね。

>ベルばらのように「アドルフに告ぐ:峠草平編」
たしかに、是非やって欲しいっ! それにしても曽世さん、この役当たり役だ! 少なくともわたしはそう思う。再演あるなら、刑事役でぜひとも高根さんにも出演してもらいたいなぁ~ こうなるとまさに白夜行のノリになってくるのですが^^;



  *  *  *  *  *

昨日はよいところばかりを書き連ねましたが、いっぽうでちょっと気になった点もいくつかありました。ひとつには、峠草平と由季江、そしてアドルフ・カウフマンとユダヤ人のエリザの接近の仕方が、ちょっと急すぎるような感じがしたところ。(OZのフィリシアとムトーのときも同じようなことを感じたんだけど、今回もなんとなくよく似た感じ) これは時間的な制約があるのでしかたがないんだろうけど、未亡人になった由季江が峠草平に一目ぼれしたみたいな感じで(原作はどうなんだろう?)気づくと再婚していた、というような印象を受けたし、アドルフもエリザをひと目見るなり好きになって、いきなり逃亡の手助けまでする。なんとなくだけど、ちょっと唐突な感じが…。たぶん原作では、それぞれがそこまで接近するにはもっといろいろなエピソードがあるんだろうけど、残念ながら舞台でそれを描ききるのは難しいようで、なんとなく、あれ、もうそんなに好き合ってんの?という感じが否めない。でも、このあたりは観る側の想像力に託されているのかもしれませんね。

急展開と言えば、もうひとつ。あれほどアドルフ・ヒットラー・シューレ(AHS)へ入ることを嫌がっていて、入学してからもずっと反抗的な態度をとっていたカウフマンが、ある日、ヒットラー総統と握手をしたとたんに、急にナチスに傾倒するようになるあたりが、どうも気になった。きっとこれも舞台では時間的な制約があるからしかたがないことなんだろうけど、もうちょこっとなにかが欲しかったような気がするな。。。 それとも、総統との握手だけで、そこまで考え方が変わるくらい、当時の総統というのがドイツ人にとっては偉大な存在だったということか。あるいは、カミルの父親を銃殺したことで、カウフマンのなかでなにかがプツンと切れてしまったのか…。

あとは役変わり。これはほんと凄まじかった。ある意味、歌舞伎の早変わりに匹敵するくらい。とにかくいろんな役者が、いろんな役でころころ変わって登場する。たまに、ユダヤ人やってた人が、次の場面でナチス党員とかやってると、ありゃ?と多少混乱するところもあったりして。初日の感想でも書きましたが奥田くんや林さんはひとり7役、寺岡さんは5役。深山さんはエヴァ・ブラウンを始め計5役(そのうち3回死亡)。とにかく全員がこんな感じで目まぐるしく役が変わる。観る側でさえちょっと混乱してたくらいだから、やってるほうはさぞかし大変なことだろうと察する。でも、そのおかげで今回はフレッシュくんたちにもそこそこ台詞のある役がまわってきて、フレッシュ贔屓のわたしとしては、かなり嬉しかった。 ちなみにイチオシのおがっちは、警官、生徒、記者、特高の刑事、防空壕の日本人男性、憲兵隊員の計6役。

そんななかで、カウフマンの母、由季江を演じたミカシュンは、他は街の人と収容所のユダヤ人を演じたくらいで(実を言うとCast表を見るまで気づかなかった)、あとはずっと由季江役。ますます女っぷりに磨きがかかって、チケ情報局で夫役の寺岡さんが言っていた 「フツーに可愛い」 という意味がよくわかった。しかもただ可愛いだけでなく、気丈でもあり、また最初の夫であるカウフマン氏、再婚相手の峠草平、息子のアドルフを愛しぬく女性をしっかり演じていました。

女っぷりと言えば、エリザ役の吉田くん。daily LIFEで芳樹さんを大絶賛していましたが、そういう絶大なる信頼感が演技にもよく表れていて、エリザのカウフマンに対する思いというのが、とってもよく伝わってきた。ただ思ってたより芸者絹子役の登場シーンが少なくて、ちょっと残念。和服姿&おしろいを付けた吉田くんが、もっと観たかったなぁ~

そろそろエンディングについて…。倉田さんによると、最後は原作とは違うらしいけど、原作をまだ最後まで読んでいないので、どこがどう違うかわからない。舞台では、ようやく重要機密文書を入手したカウフマンが、ヒットラーが死んだと聞かされ、「今まで自分はなにをしてきたのだろう?」 と自問し、自虐的に笑っているところで暗転。明るくなると再びオープニングの1973年パレスチナで銃を向け合って対峙する二人のアドルフのシーンに戻り、やがて激しい銃声、カミルがカウフマンを銃殺。暗転。 (このとき二人のアドルフ 45歳)

再び明るくなると、1936年の「やあ~い、白んぼ~ッ」 とチビ、カウフマンがいじめられている序盤のシーンのスローモーション。カミルが助けに来て、いじめっ子を追い払ったあと、二人のアドルフが並んで座って遠くを見つめるなか、徐々に暗転。

ここまで、めくるめくようにストーリーが展開していくのが、ここで初めてゆっくりと息をつける感じ。それだけに時代に翻弄された二人の少年の友情というものが、あまりにせつなくて悲しくて、胸にじわーんときた。今回は、ストーリーについてくのが必死で、途中で感傷に浸っている間がなく、最後にようやくホロリと来たという感じでしたが、次回、Mut チームを観るときはもう少し余裕をもって観ることができると思うので、たぶんこの最後のシーンは号泣しそうな予感。演じる側も、これから回を重ねるごとに余裕が出てくるだろうし、舞台も必ずやさらに進化を遂げているはず。

Mut チームは、マツシン→カウフマン、アラケン→カミルなら、なんとなく想像がつくのだけど、これが逆だからまったく予想できない。とくに、アラケンのカウフマンがとっても楽しみ。言うまでもなく、芳樹さんとは全然違ったカウフマンになっているだろうし、マツシンとの息のぴったり合った演技も楽しみ。Mut チームは来週観劇で~す♪


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COMMENT

●レポお疲れ様でした

昨日Mutチーム観劇してきました。主役二人を中心に展開するので、Wキャストで雰囲気が変わりそうですねe-417
Ehreチームは千秋楽までお預けなので、逆にEhreチームの方が想像できない私です。

私も芸者・絹子をもっと見たかったです!! 
あと私も登場人物の中で緒方くんの出番を探してみたのですが、たった1箇所しかわかりませんでした…。ふうさんさすがですv-344
深山さんの「スリ子分」も可愛かったですねv-347

●>tamayuraさま

tamayuraさんはMutチームをご覧になったのですね~
わたしはアラケンのカウフマンが今から楽しみでなりませんv-290
緒方くんは出てくるたびにチェックしまくりでした~(笑)
>深山さんのスリ子分
このシーンも大好きです! 甲斐さん親分とのやりとり、なんだかチャップリンの映画を観ているようでしたネ~♪

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プロフィール

ふう

Author:ふう
(B型、みずがめ座、木星人+)
芝居好きの駆け出し翻訳家。
派遣社員として製薬会社で翻訳業務に従事するかたわら,2010年春より在宅で字幕翻訳の仕事をさせていただいております。いつか自分の訳した戯曲が舞台化され,それを観る日を夢見つつ,日々翻訳修行に励んでいます。

※当ブログについて:
当初は芝居と翻訳について半々の割合で書くつもりでしたが,今ではほとんど観劇日記と化しています。“翻訳”等のキーワードでアクセスしてくださったかたには申し訳ありません! でもたまに仕事や翻訳についても語っているので、もしよかったらまたお越しくださいね。

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