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ふうの翻訳劇場

~ 芝居好きの駆け出し翻訳家ふうの日記 ~

実務翻訳と文芸翻訳の違い;類語辞典

違いはたくさんあると思うのですが、わたしがとくに感じているのは「修飾語」の多さです。たしかに実務でも修飾語は出てきますが、基本は「完結明瞭」なので、読者によって受け取り方がばらつきやすい修飾語は、実務では極力避ける傾向があります。ちなみに、ここで言う「実務」とは、機械やITなどの技術翻訳、マニュアル、契約書、医薬翻訳などをさします。ニュースや記事などは、わりと修飾語も出てきますからね。

“I love you,” he said quickly.
という文があるとします。仮に、“「愛してるんだ」慌てて彼は言った” と訳すとします。(この際、例文のセンス云々は目をつぶってください(^^;)

この quickly(慌てて) というような修飾語のいかに多いことか。

例えば、said mildly(穏やかに/控えめに言った)、slowly(間延びした口調で)、tersely(ぶっきらぼうに、素っ気なく)、dryly(軽くあしらうように)、flatly(一本調子で、にべもなく)、crossly(意地の悪い調子で)…
他にも、heavily, smoothly, evenly, softly, sharply, bluntly, tightly…

まあとにかくいろいろあります。さらに厄介なのは同じ単語でも文脈によって、意味やニュアンスが微妙に違ってくること。例えば、mildly の場合、文脈によっては「穏やかに」 にもなれば 「控えめに」としたほうがしっくりくる場合もあります。慣れてくるとそれほど苦ではないのかもしれませんが、なにぶんまだ新米なもので、日本語の語彙力がかなり不足しており、しょっちゅう苦戦しております。

そんなとき利用するのが 「類語辞典」

「類語辞典」 についてご興味のある方は、「続きを読む」 からご覧下さいませ。

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>> 続き

「類語辞典」

いいものは結構値がはるので、わたしが最初に購入したのは
『早引き類語連想辞典』*



厳密に言うと類語辞典とはちょっと違って、ひとつの言葉に対して、連想される類語がたんに列挙されているというもの。本当の類語辞典は、それぞれの類語にちゃんと意味も添えられています。でも、そういうのは結構値段が高いんです。

例えば「泣く」を見ると、「しゃくりあげる。すすりあげる。すすり泣く。涙する。むせび泣く。涙にむせぶ。嗚咽。」などが出てきます。

*『早引き類語辞典』: Amazonのレビューにもありますように賛否両論です。実際にお買い求めになるときは、書店で現物をご覧になって皆さまのニーズにあうものをご購入されることをお薦めいたします。


『早引き~』以外では、今春、5年近く愛用していた電子辞書が壊れ、修理代も結構かかると言われたので、一念発起して類語辞典が入った新しい電子辞書を購入しました。

CASIO EX-word XD-GW9600

たしか5万円くらいだったと思います。突然の出費は痛かったけど、これも必要な投資と、かなり思い切りました。このなかに大修館書店の 『日本語大シソーラス』 が入っていて、今はもっぱらこちらを利用しています。ただし、こちらも個々の類語の意味は載っていないので、必要に応じてその都度調べる必要がありますが。

あとは、日本語の小説などを読んでいるときに、気づいた表現があれば付箋を貼って、あとで表現集に追記していくようにしています。これは実際にあとで見返すためというよりは、むしろメモをすることで記憶にとどまりやすくなるかな、という思いからやっています。

実務と文芸の違いからはちょっと脱線しましたが、ほんの少しでも参考になれば幸いです。

最後に、先日、あるロマンス小説を読んでいたらこんな表現が出てきました。
ヒロインがヒーローと賭けをして、結局彼にキスされることになったときのヒロインの心境を表したものです。

「胃のあたりは金魚の群れをのみ込んだようにぴくぴくしていた」

実務翻訳にはこんな表現、まずでてきませんよね(笑)

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COMMENT

●No title

ははあ、プロの方はこういうツールを使われるのですね。参考になりました。

ちなみに私は契約書を英文で書くことがありますが、確かに権利義務を明確にしなければならない性質上、修飾後は使われにくいですよね。でも、日本企業は結構あまりいろんなことを契約書で明確にしたくないようなことがあるので、"Make payment within 1 day after delivery"と本当は言いたいところを、"Make payment immediately after delivery"と書いてみたりすることはあります。あまり良くないことは知りつつも。
ちなみに私はロースクールではよくアメリカの判例を読まされていたですが、これはくせのある人間たちの波乱の人生模様を扱ったり、裁判官が浪花節を披露することも度々あるので、修飾語はオンパレードですね。

●桜田さま

コメント&ご訪問ありがとうございます^^
たしかに法律学にせよ文芸にせよ二つの違う国の言葉を扱うとなると、たんに言葉だけの問題ではなくなりますよね。それぞれの文化とか習慣の違いも関係してきますから。わたしも企業にいたころ、英語の苦手な社員の方のメールの訳とかを頼まれたことがあって、日本語特有の曖昧さとか微妙な表現にかなり苦労しました。でもそういう文化や習慣を理解したうえで、より原語に忠実な訳をするのがこの仕事。永遠のテーマでもありますね…。

最近はもっぱら舞台ばかりで映画館へ行くことがほとんどなくなってしまったのですが、裁判モノは結構好きですよ。法廷という限られた空間での言葉の応酬は見ごたえあります。ま、映画はよりドラマティックに描かれているので現実とは違うんでしょうけれどね。「裁判官の浪花節」→ウケました(笑)

ハハハッ、「Are you sure?」と「ホンマに?」で、あそこまで広がるとは(爆)
面白かったです^^

●No title

私は授業の一環としてアメリカの裁判を観にいったことがあるのですが、日本との決定的な違いは、裁判官が法廷でしゃべりまくることです(^^;)
ちなみにその日は学生がたくさん行ったので傍聴席が満席になったため、裁判官の裁量であふれた人は陪審員席に座らせてもらっていました。いくら陪審裁判でなくて空いていたとはいえ、傍聴人を仕切りの中に入れてしまった判事の柔軟さに驚愕しました。

●桜田さま

ご来訪&コメント、いつもありがとうございますv-290
弁護士はよくしゃべるっていうイメージがありますが、裁判官がそれほどとは。
…にしても傍聴人が陪審員席に!?
ある意味、自由でいいですね~^^

●さすがですね

ふうさん、こんにちは。

類語辞典、わたしもいろいろ使いながら試行錯誤しています。参考になります。ありがとうございます。ふうさん、知ればしるほど奥が深いですね。お知り合いになれてとてもうれしいです。応援して帰りますね。。。

●fusaobiさま

ご来訪&コメント、ありがとうございます!
>知ればしるほど奥が深いですね。
アハハッ、そうですか^^
これから少しずつ、このblogを通じて「さらけ出して」いきたいと思いますので
どうぞよろしくお願いいたします(笑)
こちらこそfusaobiさんのblogにはいつも啓発されています。
これからも楽しみにしていますネe-68

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プロフィール

ふう

Author:ふう
(B型、みずがめ座、木星人+)
芝居好きの駆け出し翻訳家。
派遣社員として製薬会社で翻訳業務に従事するかたわら,2010年春より在宅で字幕翻訳の仕事をさせていただいております。いつか自分の訳した戯曲が舞台化され,それを観る日を夢見つつ,日々翻訳修行に励んでいます。

※当ブログについて:
当初は芝居と翻訳について半々の割合で書くつもりでしたが,今ではほとんど観劇日記と化しています。“翻訳”等のキーワードでアクセスしてくださったかたには申し訳ありません! でもたまに仕事や翻訳についても語っているので、もしよかったらまたお越しくださいね。

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